『
「王様のレストラン」の経営学入門』
三谷幸喜脚本のドラマ「王様のレストラン」。僕は、DVD4枚組を買うくらい気に入っているドラマです。テレビドラマのDVDで所有している唯一のモノでもあります。
1996年。今から10年前に、その「王様のレストラン」1995年のオンエアーを受けて出されたのが、この川村尚也著『「王様のレストラン」の経営学入門』扶桑社。「王様のレストラン」も好きで経営学(人事・教育)にも興味のある僕には、興味津々の本だったんだけど、あっという間に絶版になってしまい、ダイジェストでしか見ることができなかったのです。
ところが、今日、教育関係の取材で訪れた、同じく「王様のレストラン」好きの山口照美さんが同書を持っているということで、しばらくの間、僕のDVDと山口さんの本との交換レンタルと相成りました。
内容は、やっぱり思った通りのもので、一般的な
理論に合わせて「王様のレストラン」の物語の一部分を紹介するという形です。
僕は、もっと逐語訳的な経営学の本が書けます(断言!)。つまり
ドラマの展開に合わせて、経営実務の一部を紹介する形にできるということです。
『~経営学入門』は、やっぱり経営学の先生が書いただけあって、サブタイトルでもある「人が成長する組織のつくりかた」が主眼になっています。「王様のレストラン」は、その事例として紹介されています。でも、実は三谷幸喜が書いた脚本自体に、相当な現場スタッフの仕事観、管理哲学、人事哲学、経営哲学が盛り込まれているのです。
例えば、佐々木君とデュヴィヴィエを辞めさせないために、みんなで負担し合おうじゃないか!という第3話。「僕がオーナーになったことで誰かが不幸になるのはイヤなんです」という経営者が今どきいるでしょうか?同僚がリストラ候補に上げられているとき「僕がいくらか負担するから、彼をやめさせないで欲しい」という同僚がいるでしょうか?たいていは「オレじゃなくてよかった」程度でしょう。
佐々木君とデュヴィヴィエが辞めなかったから、第5話で、スタッフ全員が関わり合って奇跡の「オマール海老のビックリムース」が完成したのです。スタッフが一人でも欠けていたら奇跡は起こらなかったでしょう。
第6話の梶原さんが一夜限りのディレクトールになる回。「人柄だけが取り柄」の梶原は、今どき、真っ先にリストラされるでしょう。だけど、実は「人柄」というのが、とても大切な組織の資源であることをあの話では伝えています。そして、「人柄」というモノは、努力してもなかなか手に入れることができず、一度失うと補充が効かないということを、経営者は肝に銘じておくべきです。
とにかく、「第○話」という一括りでも話は進められるし、「あのセリフ!」一つ一つにも人事や教育や経営についての細かな説明が可能なのです。
例えば、「お客様は王様である」という言葉は、それまでの「お客様は神様です」とは全く異なるサービス哲学の表れです。神様に対峙する人間は、絶対服従です。ところが、王様に対峙する人間は、首をはねることもできるのです。つまり、「サービス提供者と受益者とは、本来、対等であるべきだ」という哲学なのです。
各所に散りばめられた、経営学的名言の数々。僕が、その宝を一つ一つ掘り起こして、もう一度、ドラマ上映から10年経った現在によみがえらせ、今の経営者や管理者に知って欲しいです。
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というわけで、山口さんのインタビューも、前半は「王様のレストラン」の名セリフ乱れ打ちから入りました。後半は、教育談義に燃え上がりました。前回の「読売ウィークリー」の取材は、前半は、「ハードロック談義」から入りました。次は、どんな取っ掛かりになるんでしょうか?話題のチャンネルの多い人はおもしろいです。そうそう、「教養はなんのために?」という話もしました。まさに、この話ですね。