この日、同じく東京に出張に来ていた和子さんと時間が合ったので、帰りの「のぞみ147号」は自由席で二人分の席を確保し、車内で待ち合わせしました。赤坂見附から東京駅までの移動時間が意外とかかったみたいで、発車直前に登場の和子さん。よく利用する駅とはいえ、家から遠く離れた場所で、超馴染みの顔に会うってのはなんかオモシロイ。
隣同士座って、「今日の講演がどうだった」「今日の会議はこうだった」とあれやこれやと話を、駅弁食べながら、小諸市の講演お土産のカレーパン食べながら、ビール飲みながら話してました。
通路を挟んで3人掛け席は、向かい合わせの6人掛けにして会社の同僚と思われる5人が、食べて飲んで上機嫌でした。話を聞いていると製薬会社の社員。酒も回ってきたのか、さらにボルテージの上がる5人組。
盛り上がっているのはイイんだけど、ちょっとウルサク感じ始めた静岡駅通過頃から、5人の中の2人が悪酔い状態に突入。「おいっ!いいか、よく聞け!」と完全酔っぱらいの絡みモードに。残り3人が「もうちょっと静かにしないと迷惑だから」と言っても「うるせぇ」という感じに。
ヤレヤレ…と思い始めた矢先のこと。
「羽島駅の雨量計が一時間に60ミリを越えて観測されましたので、順次速度を落として運行しております。いずれは停車して様子をみます。お急ぎのところご了承下さい」
というアナウンスが。
ここから酔っぱらい製薬会社社員達との、2時間が始まったのです。もっとも泥酔は2人。どこでも「上2下2の法則」は成立するわけで、この5人の構成は「上1.5、中1.5、下2」でした。一人は「上中」を行ったり来たり。「下」もたまに2.5になったり。上の1は、かなりシッカリしていて、最初から飲まない人でした。冷静で落ち着いていて、彼がいたから周りの人も怒鳴らずにすんだんだと思います。残りは、流される人と、泥酔で理性を失ったアホでした。
最後、もっとも酔っぱらっていたのは、まともに座ることもできず床に座っているのを「上」に引っ張り上げられて座っていました。人間なにがみっともないって、理性を失っている姿です。泥酔は仕方ないですが、公の場での泥酔はカンベンして欲しいです。泥酔に対する恥じらいをもって欲しいモンです。もはや制御不能の物体に対する、僕の願いは、「他の客手を出すな!」と「吐くな!」「漏らすな!」でした。
一番泥酔が後ろの客に絡んだコトがありましたが、「上」が押さえました。後ろの客が「背もたれ倒してエエから、その変わりドンドンすなや」と驚くほど冷静でホッとしました。「エエ」方を先に言って落ち着かせてから注文を付ける。修羅場を知っている人だとお見受けしました。その後ろの人は、シロウトでもなさそうでしたが…
僕たちの乗った「のぞみ147号」は、最初、静岡と掛川の掛川に近いところで止まったままでしたが、掛川まで徐行してそこで停止しました。そこでしばら~く止まったまんまでした。その間も、「雨量は一時間に107ミリになりました」「124ミリを記録しています」といつまで経っても止む気配なし。酔っぱらいの騒ぎも止まる気配なし。
こういう時、隣に知らない人がいて、「困ったもんですねぇ」というのもイイのですが、やっぱり気心知れた和子さんだからこそ、観察もより細かく、共感するツボも同じで、イライラもかなり解消できました。「ああいうのは、絶対に身近にいて欲しくないよな」とか「彼は中と下を行き来してるなぁ」とか。
2時間近く停車した後、ようやく動き始めました。サラリーマン観察にも飽き、持っていたノートパソコンで火曜日の三重県津市での講演のPowerPointのデータ作ってました。
名古屋で5人衆は降りてくれました。その後の車内の静かなこと…。みんな一様に安堵の表情。あれだけ大きな声で名前を呼び合っていたので、調べようと思えばすぐにどこの製薬会社か分かります。「恥さらし」とはまさにあのことでしょう。
岐阜西部で局地的大雨、新幹線が一時運転見合わせ
「東京発博多行きの「のぞみ49号」が155分遅れたのを最高に」
この「のぞみ49号」の7本後ろを走っていた僕の乗った「のぞみ147号」。おそらく「のぞみ49号」は、名古屋駅か、もしくは豪雨地真っ直中で待機していたはず。名古屋までは巡行速度で走っていたはず。ということは、その後ろにいた列車の方が、もっと遅れたと思うんだけど。計算間違ってるかな?
どっちにしても、約2時間20分も遅れ、特急券は全額払い戻し。ところがその払い戻しの列が長蛇の列。一ヶ月以内に清算すればいいそうなので、後日また京都駅を通るついでに清算することに。
結局、佐久平から京都までは6時間半でした。往復11時間半!
天災遭遇(&人災遭遇)とはいえ、これは最長記録になったかも。
小諸に向かう行きの爽やかな風景や、小諸のおおらかな雰囲気が、遠い昔のように感じる出来事でした。